
今話題の【白砂】を読んだ感想
いつものように書店に出向き、よさげな新刊はないかと目を配っていると、明朝体で書かれた〖白砂〗という文字に星空が浮かんでいる、少し寂しげな雰囲気を醸し出している書籍が目に入った。
あらすじを読んでみると、最後にどんでん返しがありそうなミステリー小説で、湊かなえが大好きな私はすかさずレジカウンターに向かった。
感想
ミステリー小説が好きな私ですが、鏑木蓮さんの作品は、今回読んだのが初めてでした。
事件が起き、その事件を担当する刑事と、後に出てくる女性の、二人の視点から物語を進めていく展開でしたが、流れもよく、登場人物の心情も伝わってきて、あっという間に読み終えてしまうような面白い小説でした。
この物語では殺人事件が起こっていますが、殺人を犯してしまった加害者の気持ちも丁寧に描かれていて、「何も殺さなくても…」と思いつつ同情心を駆り立てられずにはいられませんでした。
被害者の女の子は、京都の田舎町出身のとてもつつましい生活を送っていたようで、今時見かけないような古風さを感じさせる風貌が連想されましたが、その古風な人物像の描き方が素敵だと感じました。
文章を読んでいるだけで、まるで自分もその自然豊かな田舎町にいるような……もしかしたら私自身も一時京都の田舎町にお世話になっていた時期があるからかもしれませんが……そんな気持ちになりました。
著者の鏑木さんもどうやら京都生まれのようです。
鏑木さんは、古き良き日本らしさが好きなんだろうな…と感じさせるような描写が、読んでいてより面白さに深みが出ました。
白砂 鏑木蓮↑Amazonの本のリンクです。気になった方はぜひ。